報道各社へのお願い


近年、ヒグマによる街地内部への侵入がしばしば発生するようになりました。その際に、ヒグマの出没状況を詳細に伝えようと、報道各社の方々がクマを追い、競って撮影しようとする状況が繰り返されています。このような行為を通じて、人前に出没するヒグマの人慣れを加速させたり、あるいは、追い回されたヒグマが興奮状態となることが懸念されます。その結果、人身事故を誘発する危険性があります。

 

報道各社には,以下の行動をお願いします。

1) ヒグマを目撃しても、接近したり、追跡したりしないでください。特にヘリやドローンの低空飛行、車や徒歩による追跡、先回りしてクマが進む方向を塞ぐなどの取材行為はクマを興奮させる恐れがあるため、厳に慎んでください。

 

2) 周辺住民の方には出没の事実を報道し、外出を止めるなど注意の呼びかけを行ってください。

 

3) 現場で対応されている警察・行政・ヒグマ防除隊の活動の支障にならないように配慮し、指示がある場合にはそれに従ってください。

 

その上で,

4) 出没情報があった地域の近隣住民に対して、ヒグマが出没したり潜んでいたりする可能性のある緑地や茂みの付近では、ゴミ出し・通勤通学・ジョギングやサイクリングなどの日常的な営みについても控えるようにメディアを通じて繰り返し伝えてください。

 

ヒグマの分布域が徐々に拡大し、都市景観における緑地の連続性が高くなっている現在、従来考えられなかったような場所にまでヒグマが出没する可能性があります。これまで出没が見られなかった地域でも、十分に注意しておく必要があります。人身被害をなくし、人とヒグマが、生活圏を分けながら共生できる社会を目指して,それぞれの立場でできることをしていきましょう。

 

2021年6月24日

ヒグマの会

(2024年2月3日、一部修正)

 

❖ 追 記 

ヒグマ出没や事故の際に報道機関のヘリが飛来することがしばしば見られます。救助や捜索などの際に上空をヘリが飛ぶとたいへん危険です。付近にまだクマが潜んでいる可能性がある場合、ヘリの爆音でヒグマの気配を察知することができず、また咄嗟の際にも捜索者相互の意思疎通が困難となるからです。2022年の札幌三角山における事故、2023年の朱鞠内湖、大千軒岳における事故の際にも、ヘリの騒音によりたいへん危険な状況であったと現場にいた当会の関係者から報告を受けております。報道各社におかれましては、ヒグマに関わる現場上空でのヘリの飛行を自制されることを強く要請します。

 

2024年2月3

 

ヒグマの会